12月13日にFOMCは利上げをする確率は「80%」と予想

 2月10日、イエレン米FRB議長が、下院金融委員会で半期に一度の証言を行った。写真はワシントンで同日撮影(2016年 ロイター/Gary Cameron)

2017年10月現在、FRBの政策金利であるフェデラル(FF)金利は1.00-1.25%に設定されています。米国のファンダメンタルは絶好調といって良く、その低すぎる政策金利を12月18日のFOMCで引き上げるかが2017年終盤の注目点となっています。ご存じの通り、FRBはデュアルマンデート(二つの責務)と呼ばれる金融政策を展開しています。1つは「インフレターゲット」で、もう1つは「雇用の(質量)安定」を指します。FRBの見通しが満たされれば、12月に利上げを実施するでしょう。

ちなみに、インフレターゲットはPCEコアデフレータを+2.0%(前年比)へ持っていく事で、雇用の安定は「完全雇用と雇用のスラック解消」を指します。スラッグ解消とは、「働いているものの納得した仕事についていない」事で、本当はもっと高度な仕事に就きたかった人が就職難のためにパートタイマーなどで働きしまうなど生産性を落としてしまうスラック(雇用の緩み)を引き締めたい意図があるようです。9月以降の主要な要人発言、声明等を見てみましょう。ここからは、10/11FOMC議事録、9/27イエレン議長講演、9/20FOMC声明&イエレン議長会見をベースに考えていきます。

 

◎FOMC議事録要旨 10/11 (9/20のもの)

ほとんどのメンバーは追加利上げはインフレが上昇する確信が持てる今後のデータ次第と指摘
年内の再利上げは正当化されると多くの当局者が判断

低インフレは一時的な要因のみではないと多くが懸念
「インフレ判断に際し、一定の忍耐強さが正当化される」

労働市場が強まり、賃金が加速すると大半が予測
「複数のメンバーはハリケーンは第三四半期のGDPに影響を与えるが年末までには持ち直すと指摘」
インフレが上昇するまで利上げを見送るべきだと数人が指摘

「今後数回のインフレ指標、悪天候の影響を受ける」
「2%を下回るインフレ基調を幾人かが懸念」
労働市場逼迫でインフレに上振れリスクと数人が指摘

「金融状況は安定へのリスクと当局者2人が指摘」

 

10月に発表も、9月の段階で12月利上げは意識されていることが分かります。そのうえで低インフレは一時的な要因のみではないと多くが懸念と疑問を取り上げました。議事録発表後にドル売りになった理由です。12月利上げは行いつつも、2018年以降の利上げペースは上がらない見込みとなってきました。これは年末にかけてドルが買われにくい要因として、作用しそうです。もしも2018年の利上げ見込みが3回未満になれば、ドルはかなりの調整を迫られるでしょう。(この可能性は結構高めです)

ハリケーンに関しては、ファンダメンタルに悪影響ではあるものの、その後の復興景気が望めます。自動車は壊れた分だけ売れますし、家も流された分だけ建てられるでしょう。ガソリンや物資へのインフレ効果も経済指標には良い方向へ反映されるはずです。

FRBでは、インフレ上昇まで利上げを見送るハト派と、インフレが強まりバブル化するのを事前に防ぎたいタカ派との意見が割れている点が特徴的です。

 

◎ジャネット・イエレンFRB議長(講演) 9/27

長期にわたる低インフレは金融緩和を必要とする可能性がある
緩和政策の長期化は金融の安定を損ないかねない
「時間をかけた小幅利上げなければ、景気過熱のリスク」
「FOMCは、緩和策で緩やかすぎる解消に注意すべき」
「インフレ2%達成まで政策を据え置くことは賢明ではない」

FOMCはインフレが2%前後で安定するとなお予想する
「FRBは新たな指標により正当化されれば、見通しを修正すべき」
「時間をかけた段階的な利上げがなければ、景気過熱のリスクがある」

「インフレが抑制されており、段階的なアプローチが適切」
「低インフレに影響した要因は消滅する」
「インフレ、向こう数カ月で幾分か上昇する見通し」「インフレ、オーバーシュートのリスクもある」
「見通し判断するうえで、様々なデータを検証している」

2017年の低インフレは、不可解」、「インフレは今後数か月内にいくらか上昇へ
「現段階でインフレ目標の変更は考えていない」
「利上げの軌道が予測可能であるかどうか確信はない」

「中立金利になるまで過剰な引き締めは必要としない」

27日の講演でイエレン議長は「2017年の低インフレは、不可解(謎)」と述べました。そのうえで利上げを肯定してもいます。他の副議長、連銀総裁発言を聞いていても12月利上げは基本的に実行するようですが、エバンス シカゴ連銀総裁やカプラン・ダラス連銀総裁、ブラード・セントルイス連銀総裁あたりのハト派総裁は反対の意向を示しています。

FOMC声明 9/20
・バランスシートは10月に縮小開始 (まずは月100億㌦<国債60億㌦、MBS40億㌦>を毎月売却)
・ハリケーンは中期的な経済コースを変える可能性低い。
・労働市場は力強い。
・景気は緩やかに上昇。
・インフレは今年鈍化した。
・市場ベースのインフレは低水準。
・エネルギー高が短期的にインフレを押し上げる可能性。
・短期的にはハリケーンの影響が出る。

 

ジャネット・イエレンFRB議長(FOMC後の会見) 9/20

緩和的な政策が雇用市場を一段と支援するだろう
「バランスシート縮小、段階的かつ予測可能に進行へ」

「雇用者数、9月の数値に影響が出る可能性も」 (実際、NFPがマイナスに転じた)
インフレは2%目標をしばらく下回る
「企業の設備投資は加速」

今後数年、経済は緩やかに拡大を続ける
「Q3のGDPはハリケーンの影響で成長が弱まると予想」
「緩やかな利上げ依然正当化される」
「バランスシートは、緩やかに、予想可能なペースで縮小へ」
「我々はインフレが2%前後まで上昇し、安定すると予想」
「インフレが2%以下で推移していることは懸念だ」
「今年の低インフレは謎、低インフレのほとんどが循環的な項目に関係していない」

「長期にわたるインフレは金融政策に影響へ」
もし、インフレの目標を下回る水準が長引けば、政策を調整へ。インフレを綿密に監視」
「景気を過熱させないよう注意する必要がある」
「景気回復は力強い軌道にある」「経済が悪化したら、行動する準備がある」

「低インフレの要因が一時的なものかどうかを判断する必要がある」
「FRB議長の任期を全うするつもりだ」
「金融危機後の中核となる金融規制を維持する必要がある」

「財政パッケージが生産性を引き上げることが望ましい」
「議会が債務の持続可能性に留意し続けるよう期待」

 

これらを踏まえれれば、12月の利上げは正当化されています。利上げの確率は10月中旬の段階で80%でしょう。新たな材料により、確率が変動して参ります。このまま推移するなら、感謝祭ころより、もう1回利上げ基調でドル買いが起きそうです。また、11月・12月のFOMCでは2018年の利上げ見通しも材料化するでしょう。(3回未満の利上げ見通しなら、ドルは暴落するでしょう)

さらに、北朝鮮との地政学リスク、12月にやってくる債務上限問題、イエレン議長の後任問題、あと2回発表されるPCEコアデフレータの結果など不確実な要素を抱えています。主にこれらが確率を変動していくでしょう。特にFRB議長が代わるとなれば、これまでの見通しがご破算になり、不透明感から混乱する場合もあります。過去に議長交代のときに景気が混乱したことが複数あります。