〔中国〕インフレ率が上昇しつつある理由についての仮説

2016年1-11月までの中国消費者物価指数(CPI)、生産者物価指数(PPI)の推移

消費者物価指数(12月)10:30
結果 2.1%
予想 2.2% 前回 2.3%(前年比)

生産者物価指数(12月)10:30
結果 5.5%
予想 4.6% 前回 3.3%(前年比)

1月10日に中国・消費者物価指数(CPI)が発表されました。中国のファンダメンタルを確認できる重要資料となります。中国当局が発表する経済指標は信用が出来ないと考える人も多いでしょうが、それはまた別の機会といたします。

さて、中国のインフレ見通しについて書いていきます。

中国のインフレ率は2016年を通じて上記のように動きてきました。インフレ率は2%を維持しており、PPIが上昇しています。よって長期的にインフレ率は上昇カーブを描く公算となります(PPIはCPIより先行する)。しかし、中国は金融危機前夜といって良いくらいに難しい状況にあります。これまで高度成長により見逃されていた問題が噴出しつつあり、外資も国外に逃避しつつあります。人民元は一方的に売られ、元を買い支えた外貨準備は3兆㌦まで減少、2年前の3/4となりました。

基本的にインフレ率は景気が良くなれば(需要が増えれば)上昇するものです。そうでもないのに、インフレ傾向が出ている理由こそが、現在の中国が深刻な危機に近いことを示唆していると私は考えています。インフレ上昇の主原因が、人民元の下落にあるのではないかと考えています。インフレ(=物価)とは、物と通貨とを天秤にかけたものです。物価が上がる事は、すなわち通貨価値が下がっているとも言えるでしょう。ですから、今回の人民元の価値減少によりインフレという形になっている。そのような見方が成立します。

中国の物価高は、人民元の価値減少が主要因である可能性がある

人民元をてっとり早くレート上昇させる方法は2つあります。1つは為替介入で、現在も行われています。原資となっていたのが外貨準備で、すでに1兆㌦ほど売っています(たぶん米国債の売却という形で)。しかし、外貨準備は貿易をする時に必要なものですから、一定量は残さなければなりません。あと5000億㌦ていどしか利用できないとする意見が見られます。もう1つは利上げです。しかし、現在の経済状況は成長率が鈍化しつつあり6.0%割れも現実味を帯びてきました。利上げはレート上昇させる効果があるものの、景気鈍化を呼び込む効果もあるわけです。なかなかに打ちづらい手でしょう。このジレンマにより、周小川PBOC総裁は、今ごろ執務室で頭を抱えているはずです。通貨を守るか、景気を守るか、舵取りを誤ると金融危機になるからです。

生産者物価指数(PPI)が2016年を通じ急激に改善しました。1月とのギャップは10%㌽にもなります。この数字の意味合いは、色々考えられます。その中で最も有力なのは、中国における過剰生産に歯止めが掛ったのではないか?という観測です。人民元価値が下落して輸入原材料が高くなり、卸値を下げることが出来なくなったのかも知れません。いわゆる輸入物価指数(IPI)の上昇がPPIに影響し始めている節です。双方が重複して効果を出しているのかも知れません。

いずれにせよ、中国のインフレ率は上昇傾向にあるようです。本来、景気とインフレ率は連動するものですが、そのへんを観察しながら中国のファンダメンタルを考えていく必要があるでしょう。「人民元の売られ過ぎ」が物価に影響を与えている可能性はかなり高いと思います。この話は、中国発金融危機の出発点になる可能性まで含んでいます。