〔日本〕日銀は”長短金利操作付き量的・質的金融緩和”を導入!

黒田東彦BOJ総裁

日銀は金融政策に関して、イールドカーブ操作という新技を投じてきました。「実質金利」に焦点を当てた金融緩和になります。

以下の文章は、日銀HPより抜粋したものです。少しでも読みやすくなるように、色分けしました。難しいことがいくつか書いてありますが、要約するなら、日銀による新型緩和の登場です。そう解釈して構わないでしょう。これを踏まえ、発表直後は乱高下しつつ円安になりました。ファンダメンタルの変化により、為替相場が変化を始めています。黒田東彦BOJ総裁の会見は15:30からあり、欧米勢も参加し始めれば、さらに相場が変動するでしょう。

(ここより引用)

1.日本銀行は、本日、政策委員会・金融政策決定会合において、「量的・質的金融緩和」および「マイナス金利付き量的・質的金融緩和」のもとでの経済・物価動向と政策効果について総括的な検証を行い、その基本的見解を別紙1のとおり取りまとめた。また、経済・物価の現状と見通しは、別紙2のとおりである。

2.これらを踏まえ、日本銀行は、2%の「物価安定の目標」をできるだけ早期に実現するため、上記2つの政策枠組みを強化する形で、「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」を導入することを決定した。その主な内容は、第1に、長短金利の操作を行う「イールドカーブ・コントロール」、第2に、消費者物価上昇率の実績値が安定的に2%の「物価安定の目標」を超えるまで、マネタリーベースの拡大方針を継続する「オーバーシュート型コミットメント」である。

(1)長短金利操作(イールドカーブ・コントロール)
①金融市場調節方針(賛成7反対2)
金融市場調節方針は、長短金利の操作についての方針を示すこととする。次回金融政策決定会合までの金融市場調節方針は、以下のとおりとする。今後、必要な場合、さらに金利を引き下げる。短期金利:日本銀行当座預金のうち政策金利残高に▲0.1%のマイナス金利を適用する。長期金利:10年物国債金利が概ね現状程度(ゼロ%程度)で推移するよう、長期国債の買入れを行う。買入れ額については、概ね現状程度の買入れペース(保有残高の増加額年間約80兆円)をめどとしつつ、金利操作方針を実現するよう運営する。買入対象については、引き続き幅広い銘柄とし、平均残存期間の定めは廃止する。
②長短金利操作のための新型オペレーションの導入(賛成8反対1)
長短金利操作を円滑に行うため、以下の新しいオペレーション手段を導入する。

(2)資産買入れ方針(賛成7反対2)
長期国債以外の資産の買入れについては、以下のとおりとする。
①ETFおよびJ-REITについて、保有残高が、それぞれ年間約6兆円、年間約900億円に相当するペースで増加するよう買入れを行う。
②CP等、社債等について、それぞれ約2.2兆円、約3.2兆円の残高を維持する。

(3)オーバーシュート型コミットメント
日本銀行は、2%の「物価安定の目標」の実現を目指し、これを安定的に持続するために必要な時点まで、「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」を継続する。マネタリーベースの残高は、上記イールドカーブ・コントロールのもとで短期的には変動しうるが、消費者物価指数(除く生鮮食品)の前年比上昇率の実績値が安定的に2%を超えるまで、拡大方針を継続する。この方針により、あと1年強で、マネタリーベースの対名目GDP比率は100%(約500兆円)を超える見込みである(現在、日本は約80%、米国・ユーロエリアは約20%)。
今後とも、経済・物価・金融情勢を踏まえ、2%の「物価安定の目標」に向けたモメンタムを維持するため、必要な政策の調整を行う。

3.「総括的な検証」の内容を踏まえて、新たな枠組み導入の考え方を説明すると、以下の通りである。

(1)「イールドカーブ・コントロール」導入の背景
「総括的な検証」で記したとおり、「量的・質的金融緩和」は、主として実質金利低下の効果により経済・物価の好転をもたらし、日本経済は、物価の持続的な下落という意味でのデフレではなくなった。この実質金利低下の効果を長短金利の操作により追求する「イールドカーブ・コントロール」を、新たな枠組みの中心に据えることとした。
その手段としては、マイナス金利導入以降の経験により、日本銀行当座預金へのマイナス金利適用と長期国債の買入れの組み合わせが有効であることが明らかになった。これに加えて、長短金利操作を円滑に行うための新しいオペレーション手段を導入することとした。
(2)予想物価上昇率の引き上げのための方策
一方で、2%の「物価安定の目標」は実現できていない。これは、①予想物価上昇率を2%に向けて引き上げる過程で、原油価格の下落などの外的要因によって実際の物価上昇率が低下し、②これがわが国ではもともと「適合的な期待形成」の要素が強い予想物価上昇率の下押しに作用したことが、主因と考えられる。この状況に対応するため、予想物価上昇率をより強力な方法で高めていくことが必要であると判断した。
具体的には、第1に、「フォワード・ルッキングな期待形成」を強めるため、オーバーシュート型コミットメントを採用することとした。「物価安定の目標」の実現とは、物価上昇率が、景気の変動などを均してみて、平均的に2%となることを意味する。現在の実績および予想の物価上昇率が2%よりも低いことを考えれば、「物価上昇率の実績値が安定的に2%を超えるまで、マネタリーベースの拡大方針
を継続する」と約束することで、「物価安定の目標」の実現に対する人々の信認を高めることが適当であると判断した。
第2に、長年続いたデフレから人々のマインドを転換するためには、モメンタムが必要であり、「できるだけ早期に」2%を実現するとのコミットメントは堅持する。―方、「適合的な期待形成」の要素が強い予想物価上昇率を引き上げていくことには不確実性があり、時間がかかる可能性もある。こうした点を踏まえ、枠組みの中心にイールドカーブ・コントロールを据えることで、経済・物価・金融情勢に
応じたより柔軟な対応を可能とし、政策の持続性を高めることが適当であると判断した。
(3)追加緩和手段
具体的な追加緩和の手段としては、「イールドカーブ・コントロール」の2つの要素である①短期政策金利の引き下げと②長期金利操作目標の引き下げを行うほか、「量的・質的金融緩和」以来実施してきた③資産買入れの拡大が考えられる。また、状況に応じて、④マネタリーベース拡大ペースの加速を手段とすることもある。

4.政府と日本銀行は、2013年1月に共同声明を公表し、デフレからの早期脱却と物価安定のもとでの持続的な経済成長の実現に向け、政策達携を強化し、一体となって取り組むこととしている。日本銀行は、「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」を推進し、2%の「物価安定の目標」をできるだけ早期に実現する。政府の財政運営、成長力強化の取組みとの相乗的な効果により、日本経済をデフレからの脱却と持続的な成長に導<ものと考えている。

(日銀HPより抜粋)